新型コロナウイルスですっかり忘れかけていた「同一労働同一賃金」。
本当はもっと特集されるはずのものですが、どの番組もネットも、新型コロナ一色となっております。。。
私自身は派遣社員のため、この同一労働同一賃金の施行を実感できるはずなのですが、派遣会社から提示された条件は驚く内容でした。
なぜそうなったのか、どこに問題があるのか、検証してみたいと思います。
同一労働同一賃金とは?
なぜこの同一労働同一賃金を導入するのかというと、正規雇用労働者と非正規雇用労働者(有期雇用労働者・パートタイム労働者・派遣社員)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。
同一企業内で、どのような雇用形態を選択しても納得が得られる処遇を受けられ、多様な働き方を自由に選択できるようにする。
・・・これが、同一労働同一賃金の導入目的です。
でも、こんなことが本当に可能になるのでしょうか?
企業は、「正社員」と「パート・アルバイト・派遣社員」を同じ処遇に引き上げないといけません。
そもそも、全員を正社員にしていない理由はどうしてなのか?
わざわざ正社員以外にパートやアルバイトを、派遣会社から派遣社員を入れている理由を考えれば明らかで、この制度が浸透するまで一体どれくらいの時間がかかるのだろうと思わざるを得ません。
同一労働同一賃金施行後のお給料の変化
既に派遣会社から4月以降の給与を提示されています。
ものすごく申し訳なさそうに、「この条件でも続けて頂けるでしょうか?」
・・・と派遣会社の担当者の方から話がありました。
<現在>
✿時給:1,460円
✿交通費:10,000円(1ヵ月)
<施行後>
✿時給:1,480円
✿交通費:500円(1日)
時給20円UP・・・はまあ良いとして、問題は交通費です。
「働き方改革、処遇の改善」という目的はあるものの、派遣先企業は支払いが増えることを拒みます。
まだまだ浸透していない「同一労働同一賃金」。
その中で派遣会社も苦戦しているのでしょう。
これまでは派遣社員には交通費の支給などなかったのですが、今後は派遣社員にも交通費を支払わなくてはならなくなるでしょう。
私自身も、派遣社員の時は交通費は支給されておらず、無期雇用派遣になってから交通費が支給されるようになった訳ですが、今回の同一労働同一賃金が施行されたことにより、ちょっとセコイような交通費に変わりました。
これまで上限有りの月に1万円だった交通費が・・・、日割りになりました。
20日勤務なら良いですが、18日や19日なら減額となります。
いえ、私の場合は基本自転車通勤だから別に良いんですけどね(笑
・・・交通費が出るだけ有難いと思っています。
でも、何だか変ですよね。
少なくとも「処遇の改善」にはなっていません。
どれだけ派遣会社が派遣先との交渉に苦戦しているかが分かるような結果です。
施行は大手企業だけ?
まだまだこれからの制度ですが、実は大手企業だけではなく、中小企業も改善が必要なんです。
<パートタイム・有期雇用労働法> 対象:パートやアルバイトなど
✿大企業・・・2020年4月1日
✿中小企業・・・2021年4月1日
<労働者派遣法> 対象:派遣社員
✿派遣会社・・・2020年4月1日
1年ずれているんですよね。
何でもそうですが、まずは大企業からという訳です。
ただ、本当に新型コロナにかき消されていて、全くこの話は出てこないですよね。
派遣会社もかなり準備はしていたと思うのですが、明確な書面や説明はありません。
労使協定方式とは
働き方改革関連法による改正労働者派遣法により、派遣元事業主は、
1「派遣先均等・均衡方式」(派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇の確保)、
2「労使協定方式」(一定の要件を満たす労使協定による待遇の確保)
のいずれかの待遇決定方式により派遣労働者の待遇を確保することとされ、令和2年4月1日に施行されます。
このうち、2「労使協定方式」については、「同種の業務に従事する一般労働者の賃金」と同等以上であることが要件となっています。
※出典:厚生労働省ホームページ「派遣労働者の同一労働同一賃金」
派遣社員の場合、エリアによって賃金は大きく変わりますよね。
私は、以前東京で派遣社員をやっていた事がありますが、時給は1,600円を超えていました。
でも、他の地域でこの時給は難しいです。
同じ人事という職種でも、エリアによって差があるのです。
もちろん物価が違いますので、東京でいうと賃金は高いですが不動産も高いです。
当時賃貸マンションでしたが、23区内に住もうと思うと1ルームでも新築だと10万
近い賃料でした。
地方だと10万円もあれば3LDKの豪華物件に住めますよね。
・・・それくらい時給単価も違うのです。
ですので、「派遣先均等・均衡方式」だと派遣先に標準を合わせて決定していくことになるので、ずっと同じ会社にいる訳ではない派遣社員には無理があります。
その場合に、「労使協定方式」を選択する方法があるのですが、多くの派遣会社はこの労使協定方式を採用しているのではないでしょうか。
エリア内で職種ごとに一般労働者(正社員)の平均賃金を出して、同等であれば良い訳ですから、こちらの方が簡単です。
ただ、この場合、退職金や賞与の支給がどうなるのかという問題が出てきます。
一応これについても、厚生労働省から具体的な計算例が示されているものの、派遣会社からは何の話もないですね~。。。
まとめ
新型コロナ対策で、リモートワークが一気に広がりました。
これまでの日本社会では考えられない光景です。
いつの日か、雇用形態で賃金が決まらない、実力で賃金が決まる世の中がやってくるといいな~と思います。
ただ、そうなると、実力のない正社員は給与が下がり、スキルの無い派遣社員は仕事が無くなるというかなりシビアな世界が待っているのかも知れません。
会社に在籍していればそれなりにお給料が上がっていくというシステムが、日本社会にはまだまだ残っています。
それが変わる日が来るのでしょうか。
「同一労働同一賃金」という考え方には賛成ですので、どのように変化を遂げていくのか確かめたいと思います。