人事部にいると従業員さんから度々依頼されるのが、
「入院することになったので、病院から限度額認定証を提出するように言われています。発行をお願いします。」
・・・というもの。
皆さん、限度額適用認定証というものが何かを知らず、「病院から言われたから」と、とりあえず依頼して来られます。
それでは、限度額適用認定証とは何なのでしょうか?
限度額適用認定証とは
病院に入院すると、それなりの費用が掛かりますよね。
手術の有無によっても異なりますが、窓口で払いきれないくらいの請求をされることもあります。
・・・その窓口での負担額を軽減するものが「限度額適用認定証」になります。
通常、限度額適用認定証を発行してもらわなくても、高額療養費の請求をすれば一定額以上は戻ってきます。
よって、窓口での支払いが厳しい場合に、限度額適用認定証を発行してもらえば良いということになります。
ただ、病院側も医療費の支払いをしてもらえないと困りますし、後から聞いていないと言われると問題になりますから、入院時の持ち物として必ず「限度額適用認定証」が書いてあるという訳です。
高額療養費の計算方法
高額療養費の計算方法はこちらです。
70歳未満と70歳以上で表が異なりますので、今回は70歳未満で見ていきたいと思います。
※出典:協会けんぽホームページ「高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)」
この表の見方ですが、所得区分ア~オのどれに当てはまるかは、個人の標準報酬月額によって異なります。
ご自身の標準報酬月額を知りたい場合は、こちらをご参考にどうぞ。
例えば、区分エに該当する場合の自己負担限度額は、57,600円ですね。
つまり、保険適用分の医療費が57,600円を超えた時に、高額療養費に該当するという意味です。
窓口では、通常3割負担分の支払いをしますので、支払額が60,000円だったとします。
そうすると、後から60,000-57,600の差額分が高額療養費として戻ってくる訳です。
高額療養費と限度額適用認定証の違い
従業員さんに多いのが、病院から何を要求されているのか分からず、限度額適用認定証が欲しいのに、「高額療養費が欲しいです・・・。」と言ってこられるケースです。
簡単に説明すると、2つにはこの様な違いあります。
✿高額療養費・・・自己負担限度額を超えた分を後から還付してもらう
✿限度額適用認定証・・・窓口での支払い額を抑えたい場合に交付してもらう
つまり、
①窓口で全額立て替えた後、高額療養費の請求をするのか
②窓口で限度額適用認定証を提示して、支払いを限度額内に抑えるのか
の違いです。
どちらにするかを選択した上で、会社(又は保険者)に連絡をしなければなりません。
ちなみに、保険者によっては高額療養費の請求が必要ないところもあります。
というのは、大体病院から2ヶ月遅れで保険者に請求が届きます。(支払基金経由)
大手企業などの自社健保では、高額療養費を自動的に計算し会社に振込み、会社がお給料に合算して支給しているところもあるからです。
又、裕福な保険者だと、高額療養費に加えて独自の付加給付があるところもあります。
まずは、自身の保険者のホームページ等で確認してみましょう!
限度額適用認定証を使うかどうかの判断基準
限度額適用認定証を窓口で提示すると、自己負担限度額を超えた分のみの支払いで良いことになります。
つまり、支払額(3割負担額)と自己負担限度額の差が少しであれば、限度額を使用する意味はあまり無いことになりますね。
それであれば、3割負担の支払額をカード払いにした方が、カードのポイントがつくのでお得になります。
※カードが利用できるかどうかは、入院先の病院に確認して下さい。
最近では、カードで支払う方が増えています。窓口で一旦立て替える余裕があるのであれば、カード払いをおすすめします。
高額療養費はいつ戻ってくるのか
高額療養費が戻るまでに最低3ヶ月はかかります。
なぜなら、病院から支払基金経由で保険者に請求が届くのが、診療日から2ヶ月遅れになるからです。
そこから保険者が高額療養費の計算をしますので、最低でも3ヶ月はかかることになります。
なお、まれに請求が遅れる場合がありますので、その場合高額療養費が振り込まれるのはもっと先になってしまいます。
3ヶ月経っても振り込まれない場合は、保険者に確認してみましょう。
シングルマザーはどうなるの?
ひとり親は注意が必要です。
私の市では、子供が18歳に到達する最初の年の3月31日までのひとり親は、親も医療費はかかりませんので、そもそもの支払いがありません。
※通常は、7割:保険者、3割:自己負担となりますが、この3割分を市が支払ってくれています。
ただし、保険適用外の部分は別です。
以前我が子が入院した時に10万円近く支払ったことがありますが、
その内訳は主に、下記の2つでした。(ほとんどが差額ベット代です)
✿差額ベット代(個室)
✿食事療養費(食事代)
・・・いずれも保険適用外となりますので、全額個人負担になります。
入院すると基本的に食事の提供を受けるでしょうから、食事療養費はかかってくるかと思います。(※食事療養費に対して助成している市区町村もあります)
ですが、保険適用外の支払いしかないからと限度額適用認定証を提出しないのは、福祉医療を受けている場合間違っています。
(福祉医療とは、ひとり親医療助成などのことです。)
なぜなら、市が負担してくれるのは、自己負担限度額までです。
限度額を超える部分は、保険者が負担します。
その為、医療費が高額な場合、限度額適用認定証の提出が無いと医療費の一部を一旦自己負担し、後から還付請求の手続きを取らなければならない可能性が出てきます。
(国保の場合は、保険者も市になるので大丈夫です。)
限度額適用認定証を最初から出しておけば、保険適用分に対して窓口での支払いが発生することはありませんので、入院・手術といった場合は必ず提出するようにしましょう!